2月19日 流氷が網走に着岸!

大雪山とはちょっと話がそれますが、数日前、個人的に紋別へ流氷を見に行ってきました。しかし、紋別には流氷が着岸しておらず、大分沖合いに流されてしまっていました。その後、流氷を求めて網走まで移動。
すると、網走市内の天都山から流氷がしっかり見えました。

オホーツク海の水平線の向こうから真っ白な流氷がじわじわと押し寄せている様子は実に圧巻!!

流氷は、中国とシベリアの間を流れるアムール川などから1000kmもの旅をして、毎年1月下旬頃にオホーツク海にやってきます。 アムール川の真水が流れ込むオホーツク海では、海面近くに塩分の薄い層ができます。塩分が薄くなると海水は凍りやすくなり、大きな流氷へと成長していくそうです。

つまり、この目の前の流氷ははるばるアムール川からやってきたものであり、当たり前だけど、地球はつながっているのだな〜、と実感できます。そして、この流氷の下には、多くのプランクトンやクリオネなど可愛らしい生き物がいることもしみじみ感じました。

流氷は海水に溶け込んでいる海の養分をかき混ぜる作用があるといわれています。そのため、流氷の海は養分がとても豊かで、プランクトンが沢山育ち、それを魚が食べ、それを海鳥やアザラシなどの海獣が食べています。こうして食物連鎖の源にもなり、海をとりまく環境を支えています。

また、大気や海洋の大循環にも大きな影響を与えているといわれています。
というのは、熱帯地域と、流氷で覆われている極地との間の温度差で、地球の空気の流れを作り出しているためです。皆さんは大気が循環しなければ地球はどうなると思いますか?
暑い場所はより暑く、寒い場所はより寒くなることがわかっています。そうなると生き物たちや植物、私たちにも様々な影響が及ぶことが予想できます。

同じように海洋において、海水表面と海底との塩分濃度や温度の違いで海洋に流れができ、海洋大循環といわれる作用が起きます。そうすると、海水は熱を沢山含むことが出来るため、熱帯の暑さや極地の寒さを緩和するなど、地球のエアコン的な役割を果たしているといわれています。

このように、流氷は地球規模で考えてもとても大きな役割を持っており、流氷を見ていると、そんないろいろなことを考えさせられます。

そして、2009年2月19日、ようやく網走に流氷が着岸しました。知床半島には既に着岸していましたが、網走や紋別はまだでした。これは観測史上2番目に遅いとのこと。

岸に着いたり離れたりする流氷を見ていると生き物のように感じます。流氷を見ている間、流氷の存在や流氷が来ることの意味を感じながら、いつまでも流氷が来る当たり前の景色であると良いなと願いました。

photo/nao
文/Shibataro