10月2日 黒岳雪景色

今シーズンの山登りをしめくくりたくて、黒岳に登ってきました。
すっかり厳冬期のような雪景色だという情報を聞き、行けるところまで行くことに。

今日はお天気になるという予報でしたが、ロープウェイで5合目に着くころには周りは吹雪いていました。
しばらく5合目周辺で時間をつぶし、晴れ間が見えてきてからリフトで7合目へ。黒岳の頂上は雲に隠れて見えませんでしたが、青空ものぞく良い天気に。
黒岳5合目はほとんど雪が融けています
黒岳5合目の紅葉
リフトからの眺め 正面が黒岳


リフトを降りて、パトロール事務所で登山届けを記入し、さあ出発!
さっそく登山道は雪道に。しばらく雪まじりのぬかるんだ道を歩き、7合目の標柱以降はしっかりとした雪道になりました。足元は登山靴やスパッツなどでしっかりと整えて登りましょう。
黒岳7合目付近 登山道

登山道を歩いていて、感動したのは木々に付く霧氷!
ダケカンバなどの木々につく霧氷

澄んだ青空に映える白くキラキラと光っている霧氷を初めてしっかりと見ましたが、涙が出るほど綺麗!!
しかも良く見ると、霧氷といってもいろいろな姿があり、木々を白く縁どるものやインディアンの羽のように逆立っているものもあって、ひとつひとつゆっくり眺めていても楽しくなります。




木々だけでなく葉にも雪や氷がついて、まるで氷のオブジェのようになっていました。
ダケカンバの葉にハート型についた雪
雫がそのまま凍って…
マルバシモツケにのった氷

9合目付近では木々に降り積もる雪もずっしりと多くなり、ハイマツなどもうなだれていて、見るからに大変そう。
でも雪にしっかりと包まれることで、大雪山の非常に冷えた外気にさらされることがないので、植物たちは枯れずにまた来年いきいきと緑の葉を繁らせることができます。だからすっぽり雪に包まれるというのは、暖かいブランケットに包まれているようなものなのですね。

ハイマツにずしりとのった雪

マネキ岩付近 登山道
マネキ岩
9合目 雪が多くなってきました

ゆっくり歩いて1時間半ほどで頂上に到着。
残念なことに、すっかり雲の中で大雪山の峰々が見えませんでした。
黒岳頂上

頂上から石室に向かうことに。
黒岳頂上からポン黒方面へ
ポン黒の登山道にある杭などはすっかり雪の下に埋まっていて、さらに雲の中にいるので世界は真っ白。

道がわからなくて登山客は皆うろうろと彷徨っていました。
視界の悪い時に行かれる際は、十分に気をつけましょう!

しっかり雪に耐えるイワウメ
サマニヨモギの花がらについた雪

石室に到着。石室はすでに表の入口は閉まっていて、裏から入るようになっています。トイレは今日、閉鎖するそうです。
黒岳石室
トイレを閉鎖する木を運ぶ石室の管理人さん

今日はこれ以上の天気が望めなかったので、石室で引き返すことに。
下りの景色はまた面白いことになっていました。
今まで大雪山上では真っ白な雪景色の中にいたのに、下をのぞくと黒岳山麓はうっすらと黄色や赤に染まり始めた秋の世界。
自分が秋と冬のふたつの世界を行き来しているのが、なんともいえず不思議な気分になります。層雲峡は今、秋と冬が同居しています。
下り 登山道
白く染まった木々の下には紅葉の世界が…

美しい霧氷も見られ、大満足の黒岳登山。これで今シーズンの大雪山を締めくくれそうです。また来年、雪融け後、真っ先に咲き出す花々、優雅に舞う蝶、たくさんの生きものたちに会える日を楽しみに待つことにします。


ナキウサギがすむポン黒ガレ場
黒岳のナキウサギたちは今どうしているのでしょうか?来年の春が楽しみです♪


* 今時期、黒岳登山には足元をしっかり装備し、またストックなどもあると良いと思われます。他にも十分な防寒対策(上着、手袋、帽子など)をしてください。天候の悪い時は、視界も不明瞭になります。黒岳でも遭難することが少なくありません。無理のない計画を立てましょう。 *



photo・文/Shibataro