5月10日 クマゲラの森

北海道、大雪山麓の森は今、芽吹きの季節です。

新緑の一歩手前の『芽吹き』は新緑の緑色とは異なり、芽がだんだん膨らみ、それが赤や黄色、ピンクなどにも見え、まるで花が咲いたか紅葉のように見えます。春の芽吹きが春紅葉ともいわれる所以です。

木々の芽吹き

林道をいくと、ケヤマハンノキの大木にぽっかりと穴があいていました。

すると、中からクマゲラのオスが顔を出して辺りを伺っています!
この巣穴は数年前からありましたが、既に古巣の状態で、使っていませんでした。
でも昨年の春先には巣口を補修したあとがあり、巣になるのかなと思っていたのですが、結局昨年は使われませんでした。
しかし、今年はこの時期に巣に入っていることから、どうやら営巣しているのかもしれません。

ヒナがたくさんこの森から巣立っていくことを想像すると嬉しくなりますね!この時期、クマゲラを脅かしてしまったりすると子育てを放棄してしまったり、卵を捨てたりすることも報告されています。
バッタリ出会ってしまったこのクマゲラ。静かな森でひっそり暮らしていたのに、人間に会ってしまったことで十分ビックリさせてしまいましたが、これ以上刺激を与えないようにさっさと我々は退散するに限ります。

それにしても、古巣もまた使うことが分かったのは大収穫でした!クマゲラを守っていくためには、クマゲラの古巣をもう使っていないからといって伐採せずに、保存しておくことが必要だということがはっきりしました。これは文献などにもなかなか書かれていない、大きな収穫!!


違う林道を行くと、今度はカワガラスがササッと目の前を横切りました。そして小さなコンクリートの橋の下に入っていきました。あやしい。。。

橋の下へ降りてみると、案の定、カワガラスの巣を発見!
カワガラス水苔などを利用して巣を作ります。この巣の大きさはバスケットボールくらいありました。

とても器用に作られたカワガラスの巣を見て、すっかり感心してしまいました。
巣に使われていた水苔

今日は他にもオオアカゲラのつがいを見かけたりと、春の森は只今、繁殖シーズン真っ只中です。

photo/ケン・木守りりんご
文/木守りりんご